カテゴリー: うつ

気晴らしが気晴らしにならない人の思考パターン

うつや不安といった症状でカウンセリングにいらっしゃる方、
症状らしい症状はないけど何となく不調が続いているという方は、
「趣味や気晴らしをしてストレスを解消しましょう」という
アドバイスを何度となく見たり聞いたりしていると思います。
内容としては、
体を動かしてみる、
おいしいものを食べる、
好きなことをする、
音楽を聴く、
お茶を飲む、
散歩する…
などなど。
どれも、自分にとってストレス解消や気晴らしになるのであれば
良い方法です。
ただ、うつ傾向や不安の強い方の場合、
「◎◎(ストレス解消法)をやったのだから、早く回復しなくては」
と考えてしまい、ストレス解消のはずが余計なノルマが増えたような
気になり、ますます気が休まらないことがあるかも
しれません。
うつで休職する人が再休職しやすいのは、
「休んで迷惑をかけてしまったから頑張らなくては」
と自分を追い込んでしまうのに加え、休職中も
「早く回復しなくては」
と、気持ちのうえではまったく休めていないことが
あります。
この場合、気晴らしは気晴らしになるどころか、
かえってストレスとなってしまうかもしれませんよね。
気晴らしやストレス解消は、その行為自体を、他のことを
忘れて思いきり楽しむ!という気持ちや、ストレス解消に
活かす!という意思がないと効果があらわれにくいからです。
例えば、一般的に運動は体にも精神にもよいと言われていますが、
毎日運動をおこなっていてもうつになる人はいます。
それはただ習慣的におこなっているだけで、本人としては
運動がまともにストレス解消のネタになると思っていなかったり、
惰性で続けていたり、運動している間も悩みごとから頭を切り替えて
いなかったりするので、効果が出なくなってしまうわけです。
もくもくとランニングマシンで走りながらも、
(昨日の上司のあの一言が忘れられない…)
(明日もどうせ怒られるんだろうな…)
と考えていては、せっかくの運動も気晴らしにはならないでしょう。
マシンで走るときは自分の呼吸のリズムに意識を集中する。
少しずつ上がってくる体温や、じわりと浮かんでくる汗の心地よさを感じる。
少しきついけど、慣れてくるとだんだん足を交互に動かす
リズム運動が気持ちよくなってくる。
今日は、昨日より走行距離が少し伸びた気がする。
そういえば、ふくらはぎの筋肉も以前より厚くなった。
今日は関節の調子がいまいちだから、いつもと違う
穏やかな音楽を聴きながら、少しゆっくりめに走ってみよう。
自分の身体と対話をしながら「走る」という行為を
味わい、仕事や悩み事について束の間、考えることを
やめるのが、本当の気晴らしでありストレス解消です。
もし気晴らしが気晴らしになっていないと思ったら、
その気晴らしに集中しているか?ということを振り返って
みると良いかもしれません。
集中できていないのであれば、
自分に合った別の気晴らしを探してみたり、
その気晴らしをおこなっているときの身体の感覚に
意識を向けてみると、行為に集中できるようになる
かもしれません。

サッカー選手のうつ病について

少し古いニュースですが、現在ヴィッセル神戸でプレーしているアンドレス・イニエスタ選手が、うつ病にかかっていたことを告白していました。

(参照記事:『うつ病とサッカー イニエスタの場合』。名声も富もアスリートの強靭さも「鬱」を防げなかったhttps://news.yahoo.co.jp/byline/kimurahirotsugu/20181212-00106957/

イニエスタ選手が初めてうつについて語ったのは、2016年に発売された自伝でしたが、近年はテレビで数回、自分の経験を明らかにしたことでスペインでも話題になったようです。

これをきっかけに、「サッカー選手の3人に1人はうつ病にかかっている?」というような記事も目にするようになりました。

子供の頃の夢を体現し、富も名声も強靭な精神、肉体を持っていてもうつ病になる可能性があるというニュースは驚きをもって世間に受け止められた印象でした。

彼のうつ病体験は読んでいてもつらくなるもので、

 

・日々が楽しめなくなり、少しずつ自分が自分でなくなっていった

・周りの人が無関係な人に見え始めた

・感情を失い情熱を失って、内側から少しずつ空っぽになっていった

・家でも何かが起こるのではないかと、どきどきした

・錠剤を飲んで就寝できる時が唯一の楽しみだった

 

と語っています。

イニエスタ選手は専門家(心理カウンセラーや精神科医)の治療を受けることを強く勧めています。一人で苦しまないこと、また家族や友人を当てにしないことが大事だといいます。

イニエスタ選手には命の恩人と呼べるようなカウンセラーがいて、「カウンセリングが楽しみで、約束の15分前に着いていた」と振り返り、カウンセラーとの何でも話せる開放感と安心感は、いかに家族や親友であろうと得ることができなかったとのことです。

周囲に夢や勇気を与える立場だからこそ、なかなか弱音を吐いたり、心の闇を打ち明けたりすることができなかったのではないかと思います。そんな中、うつを告白するまでにはたくさんの葛藤があったのではないでしょうか。うつをカミングアウトすることによって、選手生命が終わるのではないかとの懸念もしていたそうです。

 

・常に強くあること、結果を出すことを求められこと。

・万全に体調とメンタルを整え、練習を積み重ねても、予期せぬできごと(けがなど)で実力が発揮できなかったりすること。

・うまくできなかった場合は容赦なくバッシングされること。

 

これらはサッカー選手ではない、一般的な生活を送る人でも経験することがあるのではないでしょうか。

ストレスがかかれば不安や焦り、無価値感、苛立ちなどのマイナスの感情がたまっていくのはごく自然なことです。

そのマイナスの感情を吐き出さずに我慢し続けたり、見ないふりをし続けると必ずどこかで不調をきたします。それは体調の悪化であったり、すぐれない気分が続いたり、周囲との関係が悪くなっていったり、さまざまな形であらわれます。

イニエスタ選手は、サッカー選手としての活躍以外でもたくさんの人を勇気づけたのではないでしょうか。